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『Summer Pockets』本編感想、各ルートとグランドエンディングについて

Summer Pockets 初回限定版【オフィシャル通販特典全4種(1.『描き下ろし特大タペストリー(久島 鴎)』2.『公式ポスター5枚セット』3.『アクリルキーホルダー(イナリ)』4.『サマポケWalker 第2版』)付き】


 そういうわけで、本編をやり終えたのでその感想を書いていきたいと思います。
 ちなみに今回は考察なんかの難しい話は後回しにして、とりあえず各ルートと全体に対する率直な感想だけ話していきたいところ。ちゃんとした考察はもうちょっと他の人のを見つつ、時間を使って書いていけたらと考えています。

 一応、体験版時点での印象とスタッフ情報なんかも前に書いてたので貼っときます。

yossioo.hatenablog.com

 

 ※ネタバレ感想になります。気にする人は注意してください

共通部分

 共通、といっても基本的にはマップ上から好きなヒロインのとこに行ってそこのイベントを見る、そして好感度を上げる、という流れなので共通ルート固有のストーリーというのもあまりない。ただ日常シーンのレベルは高く、男二人との掛け合いやどうでもいい日常シーンも退屈にならないクオリティは素直に評価したい。

 また主人公の部活で失敗してやさぐれた設定が個人的にはちょっと楽しみというか、上手く料理してくれることを期待していたのだけど、しろはルート以外ではほとんど触れられることがなかったですね。キャラ付けとしては有用そうだから、印象的な要素としてもっとガンガン扱ってもよかったような気がする。まあ俺がそういうの好きってのもあるけど……

蒼ルート

 一番最初にやったルート。正直、質を比べると他よりも低い位置にくると思う。

 七影蝶というこのゲームの終盤で重要な役割を担ってくる要素を中心としたストーリーなので、設定的には必要なルート。良い点を挙げるとすれば、一重にヒロインが普通に可愛い点かな。和泉つばすだしね。蒼は賑やかでギャグ要因にもなれるし、かなり魅力的なキャラだと思う。

 ストーリーについては、まあ凡作程度の評価はいけると思う。しかし藍が寝たきりになる過去話や、それに対して蒼が責任を感じて無理するくだりはなんというかありきたりだったし、言ってしまえばパンチが足りない。藍が起きて代わりに蒼が寝たきりになってからも、まあ蝶を捕まえれば解決することを俺たちプレイヤーはわかっているわけだから、若干の茶番感は拭えない。それに泣きゲーとして単純にテキストのパワーも低かったというか、この辺具体的に言葉にするの難しいんだけど、他のルートに比べてライターの技量がお粗末だったんじゃないかと感じましたね。

鴎ルート

 これは普通に良いルート。Keyの得意技である「病気で寝たきりヒロインの魂が幽体離脱して現世で願いを叶える」タイプのシナリオだが、一応ひげ猫団自体がそもそも実在しないというミスリードを噛ませてることでちょっと捻った展開になっている。俺なんかは普通に再会系幼馴染だと決めつけてかかってたしね。そんでまあ、幽体離脱系のシナリオってだいたいヒロインがスゥ……っと消えてエンドだと思うんだけど、鴎はわりと早い段階でスゥ……っとして、残りを主人公が消えた鴎のためにいろいろするってのが個人的にはツボ。鴎の死が確定してからも、鴎の思い出を実現させることが主人公の目標になっているのがいいとこで、サマポケの作品テーマとも繋がりがあって上手くまとまっていると思う。未来に進むために、夏の思い出を大事にする感じ。いいね。

紬ルート

 これも普通に良いルート。俺は単純に紬のキャラが好きってのもあって、好みでいえばこれが一番かな。

 なんか本人の代わりにぬいぐるみとか動物が人間化するタイプの話。幽体離脱に近いけど一応違う。ぶっちゃけ願いが叶うとスゥ……っと消えていく時点で全部似たようなものだと俺は思っている。Keyには特に多いが、当たりルートの割合も高いので嫌いじゃない。
 そして内容についてだが、まずパリングルスが有能すぎる点が一つ。「ベランダは難しいし、この量じゃハシゴぐらいにしかならないな……」でちゃんとハシゴになる辺りとかイケメンすぎる。あと歌ね。パリングルスと並んで、お話の序盤から終盤までを支えるキーアイテムとして重要な役割を果たしているよくわかんない童謡。挿入歌として流れるのはシンプルだけど強い。曲で泣かせるのもKeyのお家芸の一つだけど、今作はストーリーと連動した挿入歌とか特に力入ってて、小さいながらもその辺の進歩がよく見えた。
 まあ難点を挙げるとすると、本物の方のツムギがちょっと救われないというか、灯台に囚われているなりにもうちょっと顔を出せたのではとか、その後にどうなったんだろうとか、その辺が少し気になりましたね。まあ俺が好きなのはぬいぐるみの方の紬だから関係ないっちゃ関係ないんだけど。
 とにかく終盤の70年分のイベント全部詰め合わせとかは、怒涛の夏休み感が伝わってきて、そこまでで紬に愛着を持てていればいるほど感動も大きかったと思う。特に主人公と二人きりで終わらせるのではなく、島の友人たちと含めて賑やかに終盤を乗り切ってるのが好印象。やっぱり「友達と過ごす夏休み」が良いんだよなあ、ってね。

しろはルート

 しろは自体はALCAでもメインになってくるから、このルート単体で評価するのはちょっと難しい。泣き要素は薄いかな。終盤も、未来を乗り越えるってのをやってはいるけど見せ場として特別パンチが強いかって言われるとなんとも。

 ただまあ、ぶっちゃけパッと見のビジュアルであんまり好みじゃないなって思ってたしろはが結構可愛かったのは素直に興奮した。特に声優の演技は特筆してもいいレベルで、クールなんだけど幼いような、大人しいんだけどどこかふざけてるような、なんともいえないところを攻めてくる演技でかなり好き。あと卓球のときの変なフォームと「ほい」「ほい」「ほい」が一番好き。小原 好美って最近出てきた人らしいんだけど、中々良い人材を発掘してきましたね。

 それから、主人公の部活設定をちゃんと取り扱っているのもこのルートの特徴。他のルートだとせいぜい挫折したわーってぐらいのあれだったけど、やさぐれて停学までくらってるって説明が出たのはここだけかな? 主人公が地元で居場所がなくなって、島に「逃げ」てきたっていう設定がここで初めて作品全体のテーマときちんと連動する。作品全体のテーマってのは俺が思うに、「夏休みという大きな籠からの脱却」であって、つまり「夏休みにすがりつく、あるいは楽しかった過去に逃げ込む」というのをやめて、「楽しかった思い出をポケットに詰め込んで未来へ進んでいこう」というものだと、まあ俺は思っている。つまり主人公にとって島の夏休みが逃げ場所なのだと、しろはルートで明示されているというわけ。
 主人公と同様に、しろはもまた未来視から「逃げ」てぼっちになっているので、この辺の話は、やはり単体でどうこう言うよりは後に続くルートも含めて評価した方がいいでしょう。

ALCA

 はい。Keyお得意の隠しルート。どういう展開になるのかなーっと思ってたらうみちゃんメイン。まあ共通部分でどんどん口調が変わっていってたから途中で気付けるし、なんなら麻枝がどっかのインタビューで「AIRみたいな親子の愛情」とか言ってたからどっかで子供出てくるんじゃねーかとも思ってたわけだけど、一応灯台下暗し的な意外性はあったね。

 でまあルート的には、ちゃんとした泣きゲーになってましたね。これまた消える系のヒロイン。真新しさはあまりないけれども、親子ごっこからシリアスへの移行は安定した動きを見せていて、これぞKeyって感じ。うみちゃんが徐々に退行していく過程なんかはよく見たような展開だからこそライターの技量が光る。あとチャーハン。チャーハンに始まりチャーハンに終わると言っても過言ではないこのゲームにおいて、ここで自然な流れの上にチャーハン描写に時間をかけているのも素晴らしい。受け継がれていくチャーハンによって描かれる親子の絆。でもしろはと会っていない段階のうみちゃんがチャーハンに固執していた理由ってなんだろう。ループが起こる前のうみちゃんが生まれた段階だとしろはは死んでいて飯のレシピなんか伝わらなかっただろうし、主人公もいわずもがな。実はループ設定に関しては、俺が把握しきれていないだけかもしれないけど、結構適当なんじゃないかと思ったりしている。

Pockets

 そしてこれ。ついにCV花澤がヴェールを脱ぐ。まさかしろはの両親にまで話を及ばすとは思ってなかったけど、そこまで深掘りしていくことでシナリオに厚みが出ていった感がある。ループものとしても良くも悪くも複雑になっていきますね。

 内容としては、しろはママが自らの命と引き換えに未来へ託した思い(七影蝶?)をうみちゃんが回収し、しろはから未来視もとい過去を繰り返す力を取り除くお話。その代わりとしてうみちゃんは消えるけど致し方なし、みたいな。
 正直このパートのせいで考察をやる必要が出てきてしまったというところ。嬉しい悲鳴と言ってもいいものなのか。しろはママが七影蝶になってみんなを導く役目?的な何かになったってのはわかるけど、具体的にどういう役に立ったのかが俺にはいまいちわかってない。今までのKeyだとその辺は不思議パワーみたいなので誤魔化されてて、ちゃんとした複雑な設定って考えられてなさそうだったんだけど、今作はその辺掘り下げた方がいい気がする。
 とにかく、うみちゃんは過去に行って未来を変えた。ループの元凶?であり、夏休みという籠に閉じこもっていたうみちゃんが、夏休みを終えるという選択肢を取った。スゥ……っと消えるうみちゃん。素直にKeyだ……

 俺が好きなのは、その後ですね。麻枝曲が流れて、主人公が再び夏休みに島へやってくる。でもしろははもう力を持っていないから、主人公と会わない。主人公もそのきっかけがないから、島の誰とも仲良くならない。思い出を整理するみたいに、蔵の遺品を整理する。繰り返したい夏休みの思い出とは少し違う光景。
 でも主人公は、夏休みの最後の日、帰る直前にしろはに出会う。この最後の日っていうのがミソ。主人公の心のどっかに残っていた夏の眩しさが、彼に行動を起こさせるわけだけど、それはもう夏休みの範疇じゃない。夏っていう籠から出たところでOPの「アルカテイル」が流れて、また物語が始まる。いやね、俺、こういうのめっちゃ好きなんだよ。

作品テーマについて

 ちなみにアルカテイルの歌詞はかなり作中とリンクしていて、EDとして流れたのもそういうわけかと頷ける。すべての解説はしないけど、特に重要な部分としてサビの終わりの歌詞にこういうのがある。
『今も何度でもボクは 夏の面影の中 繰り返すよ』

 ↑が一番の歌詞。そしてラスサビが↓

『今も何度でもボクは 夏の面影の中 振り返るよ』

 最後のフレーズだけ変わってるのがわかる。繰り返すのはただのループモノ示唆だが、振り返る方はどうだろう。そう、夏は振り返るものであり、つまりは思い出である。この作品のテーマがすなわちそれ。キャッチコピーにも『眩しさだけは、忘れなかった』とあるんだけど、この作品は夏の思い出を描いていながら、でも本質は未来へ歩き続けることにある。

 ちなみに作中の年代は、特別明言はされていないが、未来からきたうみちゃんの「スマホ」という言葉に主人公が疑問を浮かべていることや、主人公がMDプレイヤーとかいう化石を使用していることから考えて、今より過去の時代だと容易に推察できる。主人公としろはが結婚して子供を産むまで、さらにうみちゃんが小学三、四年生に成長するまでを考えると、15~20年程度かな。まるでこのゲームをやっている世代が学生だった時代を狙ったかのよう。だからサマポケという作品自体が、俺たちにとっては過去、つまり思い出になっていてもおかしく年代を舞台にしているということ。どうでしょう。オタクの皆さんは未来へ進めていますか?

まとめ

 いいゲームでしたね。
 別に今までにない締め方ってわけじゃないし、シナリオ自体も特別真新しいかって言われるとそうとも言い難いけど、でも綺麗にまとまってて、気持ちよく終わらせてくれる。壮大というよりは、ひと夏の思い出と呼んだ方がいいような清々しいゲーム。
 ちょっとループ設定をこねくり回した辺りでわちゃわちゃした感は否めないけど、別にそれで評価を落とすわけでもなく、いい感じに終わらせてくれました。Keyの新作として歴代の名作に名を連ねてもよいものかどうか、それはちょっと俺には判断できないけど、でもまあ、少なくともKeyの評判を落とすようなことはないでしょう。

 あとアルカテイル及びALKAの意味ってなんですかね。ググっても出てこない。誰か知ってる人いないの……

※また追加でなんか書きました

 

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Summer Pockets 初回限定版

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