オタクは世界を救えない

『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』七、八話感想、ようやく本気出してきたなお前

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 一話でめっちゃ面白いやんけって言ってから六話までの間、正直俺は期待外れだなって思ってた。バトルロワイヤルの割にまったく殺伐としてないし、レヴューの謎感やキリンの存在、ひかりちゃんが華恋をレヴューから遠ざける理由なんかにも全然触れず、和気藹々とまるで流行りに乗っただけのアイドルアニメみたいなくだらないお当番回を回してキャラクター紹介するだけの日々。やっぱブシロードは駄目だなって痛感しようとしたところに現れた大場なな回こと第七話
 その時点で記事書こうかと思ってたんだけど、なんかやる気が出なかったので置いといたら、ひかりちゃん回こと八話がもっと面白かったので記事的にはいい感じに寝かせたような形になってしまった今回。そういう話をしていこうと思う。

ちなみに一話時点で書いたのはこっち

yossioo.hatenablog.com

概要

 基本的にキャラ紹介メインとなった前半戦。七話では最後の一人となったバナナ回を消化して後半戦かな~というところで、そもそもバナナ回自体が後半戦の始まりだったという話。実はバナナこそが最強で、This is 天堂真矢を始め並み居る舞台少女をボッコボコにしてレヴューを支配していた彼女。その狙いは去年のスタァライトを再演し続けてそのきらめきを永遠のものにすること。まあ一言でまとめると味気ないんだけどただのループである。バナナ強すぎ説。

 そのバナナに挑むのは海外からやってきた割にあんまり強くないと噂のひかりちゃん。華恋をレヴューから遠ざけようとしては失敗し、天堂真矢に殺されかけている華恋を助けようとしては迷子になって右往左往。コミュ障でモノを語らないから華恋とはすれ違いまくりだし、実戦でもせいぜい中堅どころの純那ちゃんに敗北寸前まで追い込まれるぐらいなので強キャラ臭醸し出して現れた癖に見掛け倒しとの評判。そもそも剣が短小すぎてまあこれじゃ負けるのも無理はねーな、というところ。

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 がしかし、そもそもひかりちゃんは日本に来た時点で弱体化されていたという設定が八話で明らかに。
 かつてそれなりにカッコイイ長剣を携えていた彼女は、海外で行われたレヴューで一位になれなかったペナルティにより、130グラムのきらめきを奪われて短小になってしまう。これは戦闘能力だけじゃなくメンタル的な意味でもそう。

 で、そんなひかりちゃんが華恋との約束を糧に「きらめきを再生産」して短小ナイフを変形させ、最強のバナナを打ち倒す。このシーンが色々な面から見てめっちゃ強い。
 みんなを守るために過去を再演し続けたバナナを、きらめきを失ったひかりちゃんが未来へ進むためにぶっ倒す。そうすることでひかりちゃんや他の舞台少女はまたきらめきを失ったり、ひかりちゃんと華恋で同士討ちする羽目になったりするんだろうけど、とりあえず今回はそこらへんの決意を固めたってこと。作品としての方向性や終着点も見えてきて、ようやくここからが本番って感じ。

バナナ

 そもそもバナナがなんでループしてたの?ってとこなんだけど、主に二つ。

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「まぶしいの、今も、あの舞台が……」
 バナナ自身が99回スタァライトのまぶしさを忘れられなくて、新しいスタァライトよりもそっちを重視したからというのが一つ。

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“私の再演の中にいればなにも怖くない
成長することも、大人になることもない
自分を追い込む苦しみ、新しいものに挑む辛さ
傷ついて道をあきらめる悲しみから、みんなを守ってあげる”
 もう一つは、退学していったクラスメイトがいるという事実から、蹴落とされていく(きらめきを失う)存在が現実化してきて、みんなをそういう悲劇から守りたかったという理由。

 ただ一つ目の理由よりも二つ目の理由の方がストーリー的には重要そう。二つ目は華恋とひかりちゃんの話にも繋がってくるしね。
 逆に、一つ目の理由はちょっと考える余地がありそう。そもそもバナナは本当にまったく同じ公演だけを続けていられれば満足だったのか? キリンに再演を望むときの彼女の表情はいつも暗いし、あの舞台がまだ眩しいと語る口調はかなり疑問を感じている風。そもそもバナナは99回で主役でもなんでもないし、彼女が主役にこだわっていないと言ってしまえばそれまでだけど、それだと舞台少女的な作品テーマに沿っていない。
 たぶんバナナにもスタァになりたい欲がどこかにあって、それがいろんな理由で誤魔化されているんじゃないかとも思う。八話でひかりちゃんに倒された後、負け惜しみみたいな台詞を垂れ流していたバナナがこれから何を思うのか、今後また一悶着あればバナナ株の爆上がりも間違いない。

舞台少女の再生産について

 一話からかなりの謎ワードとして君臨してきた「アタシ 再生産」。まあ普通の少女が舞台少女として生産されなおすとかそれぐらいの意味かなーとも思ってたのだけど、今回ひかりちゃんがきらめきを失った状態から「再生産」されたので、本当に復活的な意味合いも込められてるのかなーという感じ。

 特にひかりちゃんは短小からまた長剣に復活するのかと思いきや、まさかの射出タイプ。完璧に同じに戻るのではなく、新しい形に再生産される辺りに意味があるのかどうか。それからきらめきを再生産する際、タワー(約束の象徴であるタワー?)が逆向きに突っ込んでくるよくわからん演出がされているが、この逆向きに意味があるのかも気になる。

 ただ、この再生産というワード。俺ずっと「remake」だと思ってたんだけど、ちゃんと英語にすると「reproduction」、つまり同じかあるいは前より価値を増したものを生産しなおし続けるという意味で、やっぱり別のものに生まれ変わるってよりは同じものが復活するという意味合いが強いのかもしれない。
 ひかりちゃんがきらめきを再生産できた理由も、華恋と過去に交わした約束を思い出したから。舞台少女としての信念さえ折れていなければ、ちょっとぐらい変わっても再生産できるぜってことなのか。

 あとは華恋が一話で「アタシ 再生産」した際のキリンの台詞。
「朝も一人じゃ起きられない、主役になれなくてもいい
そんな方はお呼びではありません。さあ、お引き取りを」
 一話前半で華恋は、次の舞台も天堂さんと西城さんが主役でしょ~レベル違うもんね~って諦めたような台詞を吐いてた上に、夢の中でひかりちゃんにタワーから突き落とされるぐらい昔の約束がうろ覚えになってたりするので、そういう日和ったヤツは帰れっていうキリンさんからの厳しいお言葉。
 それに対して華恋は、「約束したんだから!」と答えて特攻。スタァになる約束っていう一番大事な部分を思い返した華恋は、舞台少女としての自分をいつでも再生産できる構えにあったということ。
 それと、華恋が再生産するとき舞台衣装が大量生産されている=量産品っていう印象でなんか意味があるのかと怪訝に思っていたけど、たぶんそれも、何度だって舞台少女としての彼女を再生産することができるという意味を示しているのかもしれない。
 ついでに見返してて今更気づいたけど、華恋が再生産するときに約束の証である王冠のヘアピンが炉に放り込まれて“燃料投下”って出てくるわけ

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 キリンが「トップスタァの誕生には、それなりの燃料が必要ですから」と八話で言っていたのだけど、華恋にとってはひかりちゃんとの約束が燃料になっていることがはっきりここで明示されている。レヴューで負けるときらめきが奪われるらしいけど、ひかりちゃんが約束(=燃料)を取り戻してきらめきを再生産できたことも考えると、燃料になるべき大事なものをどこかから持ってきさえすれば、必ずしもきらめきを奪い合わなくてもトップスタァになることはできるんじゃないかって気もする。

まとめ

 これ言ってなかったけどね、やっぱレヴューのシーンが強すぎなんですよ。ミュージカルとか謳ってるだけあって、BGMと歌と映像の親和性がすごい高い。とても盛り上がる。惜しむらくはやっぱり尺が残り少ないところか。

 ストーリー性の強さも出てきたところで、再び(俺的)今期一番の期待度を手にした今作がまあちゃんと着地してくれればいいと思う。

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