くだらねえオタクの話をする

『ブルーピリオド』感想、七巻が面白かったので話す

ブルーピリオド(7) (アフタヌーンコミックス)

 ブルーピリオド、読んでるか? 最近多いタイトルにブルーが入ってるシリーズの一角ことブルーピリオド。尻の青い幼女が好きな俺たちにとってタイトルが青い漫画が刺さらないわけがないので、語っていこうと思う。

 ちなみに今回は紹介とかしないので読んだことない人はたぶんわかんない。

なにがいいのさ

 まあそもそも面白い漫画でして、七巻は大学編突入だからまあ盛り上がるのは当然って感じなんだけど、もちろんいちいち俺が面白いっていうのも理由がある。

 簡単に言うと主人公が振り出しに戻ったのがすごいいいんだよな。

 ちゃんと話をすると、まずこの漫画は、学業優秀で世渡り上手な矢口がなぜだか絵に興味を持って藝大を目指すところから始まるわけですね。で、俺はこのときのまだ絵に興味を持つ前、友達と一緒にサッカーの試合を見て語られる「なら一体この感動は誰のものだ? 他人の努力の結果で酒飲むなよ、お前のことじゃないだろ」っていうモノローグが好きなの。たしかどっかの広告だかでこの一文を見て読み始めたんだけどね。
 で、矢口くんの今までの生き方は基本的に他人に合わせる感じなんですよ。世渡り上手なのも、他人の期待に合わせるのが上手いからなわけ。そんな彼が初めて自分の意思でやり始めたのが油絵なので、絵は彼にとって自分らしさを出していくはずのものだったと。

 でもこの辺が元から結構危うくて、矢口は絵を描くってのと進路とを最初から結び付けてるので、絵を描くこと=藝大に進学することなんだけど。この藝大入試がかなり曲者で、ぶっちゃけ矢口って入試対策をすることでまた「他人の期待したもの」を作ることをやっていたわけでしょ? もちろんそれは入学するのに必要だし、それ自体は矢口の強さだから、経験不足を埋めるためにその辺で矢口のムーブがいきるようなストーリーの障害って面白かったんだけど……まあいいや、話を戻します。
 要するに、矢口くんは自分を出すために絵を描き始めたのに、藝大入試の過程でまた人に合わせるための「受験絵画」を身に着けてしまったわけですよ。

 で、ここに来て俺のもう一つ好きなシーンがあって、世田介くんのやつね。これ

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美術じゃなくてもよかったクセに……!」。世田介はもう見るからに陰キャコミュ障で絵描く以外のことなんもできなさそうだけど、なんていうのかな、だからこそ絵が代わりに上手い的な? んでそれこそ絵に描いたような天才なんだけど、いっそ矢口はそれが羨ましいみたいになるわけ。矢口は他に色々出来るんだけどなぜか絵をやってて、絵をやるからには絵で勝負をしないといけないわけなんですよ。矢口はこのときたしかに、絵じゃないと駄目だったんですよね。だから絵で世田介くんを見返すわけですよ。

 それで、矢口はたしかに絵が上手くなって、構図とか自分の得意分野も獲得して、そんで藝大に入学するの。世田介くんにも結構上手いねって言われるようになってちょっと自信もついたりするの。

それで、入学して最初の一ヶ月。本題に戻るのよ。

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 「それ、絵画でやる意味ある?」
 超いいよね。今一度突きつけられる本題。普通に世渡りするだけじゃ嫌なんだ! 絵でやっていきたいんだ! って辿り着いた先で、全然自分のやりたいことが伝わってないの。すごく気持ちいいんですよこれ。

 まあ言ってしまうと、矢口って絵をやっていきたいってのはあるけど、別にやりたいテーマとかこういうのを作りたいってのはなくて、要するに漫画を描きたいから漫画を描くんじゃなくて、漫画家になりたいから漫画家を目指す状態になってるわけですよね。
 受験絵画で手に入れた構図とかの武器は所詮ただの道具でしかなくて、他の生徒が持ってる独自性というか自分はこれ! みたいなのが矢口にはない。自己紹介のシーンとかも象徴的でいいよね、他の人は自分の絵を中心に紹介するのに、矢口は自分の経歴とかトークをメインに持ってきちゃう感じ。もうこの時点で絵じゃないの。まあこれは世田介くんも言ってたけど、絵に対する自己評価が低いんだよね。だから絵じゃなくてトークで勝負してしまうっていう。でもここ藝大だから絵で勝負しないといけないよねっていう。

 そんな感じで受験絵画で手に入れたものがまったく通用せずなんなら価値観まで破壊されて振り出しに戻ってしまった矢口八虎くん。第二部に入っても間延びせず、むしろかなり期待のできるスタートを切ったと思う。というか俺好みだね。
 これ第二部のスタートなんだけど、起承転結でいうところの転でもあるとは思うんだよね。これまでに積み上げてきたものバーンってなってあとに繋げるためのでもあるし、ちゃんと大学編の始まりにもなってるし。あんまりこういう言い方するもんじゃないけど、第二部に入ってクソになる作品はいくらでもあるからね、そうならないのはいいことですよ。

 それにしても、この漫画ってやたらと自己分析が必要になる障害が多いんだよな。入試も自画像だったし、矢口もヌードデッサンとかやってるし。「自分」がない矢口に対してそういう障害が襲い掛かってくるってのもテーマ性一貫してて好きですね。あと酒飲みの先輩、いいっすね。

まとめ

 今まで無駄に長い感想記事を書いてきたけど、それだとよっぽど話題があるやつしか喋れないので、ちょっと軽くて短めな感想でも書けるといいなーって思ってやったらそこまで短いわけでもないものになりました。でも短すぎるとツイッターで十分ってなるしいいかな。