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『ラブライブ!サンシャイン!! 劇場版』感想、虹より先のもっと向こうの話

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 サンシャインに関してはただアニメ一期と二期を見ただけのμ'sファンが『ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow』を見てきたらわりと面白かったので話をしたいと思う。

※ネタバレをするので気にする人は気にしてください

概要

 ラブライブ優勝を果たし、廃校阻止にこそ届かなかったものの一つの目標を成し遂げたAqoursの9人。二期の最後では卒業式を迎え、三年生トリオはそれぞれの進路へ、一二年生は統合先の学校でもAqoursとして活動を続けていく……というのが劇場版に至るまでのあらすじ。

 劇場版は卒業式が終わって新学期が始まるまでの期間の話。卒業旅行に消える三年生を見送って、残された一二年生は新たな環境での活動を模索していくが中々うまくいかない感じ。いきなりニューヨーク送りになった初代劇場版と比べると、ややスローで下向きな序盤から物語は始まる。

 ここでAqoursの特筆すべき点として、三年生の卒業後も活動を続けようとしている、という点が強調される。
 ちなみに俺は作品的にも個人的にもAqoursはμ'sと比較してなんぼだと思っている。三年生の卒業を区切りにグループを解散し「今が最高」で締めくくったμ'sと、メンバーが変わってもグループを続けようとするAqours。その対比こそが劇場版を見る際に最もアツい点であり、その決断にどういう落とし前をつけるのかが二つの劇場版の見どころであるのは言うまでもない。

 またSaint Snowの取り扱いも今作の注目点。姉の聖良が卒業するSaint Snowの妹の方、理亞も新たなメンバーを集めて姉がいない環境でのスクールアイドル活動に悩みを抱えており、6人残るAqoursに対し1人になった理亞はその重荷も計り知れない。ここのエピソードは劇場版のテーマを語るにあたっても重要なポジションを占めており、俺の中でのSaint Snow株もまた、かませ役の如き登場シーンをかました一期の頃とは比べようもないくらい上昇した。

もっと向こうへ

 あんま上手いフレーズが思いつかないんだけどだいたいの答えはそういうこと。今作のサブタイトル「Over the Rainbow」は決してそれっぽいものを適当に付けたわけではなく、「虹」ラブライブに優勝した今として、それを超えたその先の物語であると捉えることができる。

 ちなみに「今が最高」と定義したμ'sは、自分たちの活動を輝かしいその瞬間で終え、その先の物語を後へ続くスクールアイドルに託した。自分たちの活動を「僕たちはひとつの光」で完結させて、その後の物語を「SUNNY DAY SONG」でスクールアイドル全体に拡大させて受け継ごうという発想である。

 それと対比すると、AqoursはあくまでもAqoursそのものが存続する話。つまりAqoursは今が最高なだけではなく、その後も最高ではなくてはならない。作中で何度も繰り返される「もっと向こうへ」「更にその先へ」という言葉は、三年生がいなくなった後のAqoursの活動を示唆している。ゼロから1へを目標にしてきた彼女たちが、今度は1からその先を作るためにはどうしようか、というのが今後の課題である。

 とはいえ、やはり三年生が抜けた穴は大きい(ということになっている)。6人に減って戦力がクソ雑魚になった彼女たちは三年生の尻を追いかけイタリアにまで向かう始末であり、せっかく1を作り上げた彼女たちは再びゼロに戻ってきたかのようなメンタルに陥る。そんな中、海外でのライブやSaint Snowとの疑似決勝戦を通して彼女たちが気づくのは、三年生が卒業してもそのまま積み上げてきたすべて消えてなくなるわけではないということ。月並みではあるが卒業した三人の魂は残った六人の心の中へと受け継がれていくものであり、だから新しく始まる活動もゼロから始まるわけではなく、1から更にその先の活動として始まるわけである。

 また、今作では特に「変化」を受け入れるシーンが目立つ。特徴的なのは、理亞をAqoursメンバーに受け入れようかという話題の際に千歌がさらりと口にしたAqoursは何人って決まってるわけじゃないし」という台詞。あくまでも9人のμ'sにこだわった初代と異なり、メンバーが減っても増えてもAqoursでありつづけようとするサンシャインを強調する台詞として印象深い。それ以外にも、新たな学校や新たな練習場所、新たなキャラ(竿役ことツキちゃん)などを加えて変わりゆく環境を肯定していこうという姿勢が見える。
 これは、廃校を阻止できなかったというAqours唯一の心残りを乗り越えるために重要な要素。いっそ原点回帰とも思える。三年生の卒業だけでなく、廃校という最もネガティブな要素すらも受け入れてその先へ進もうとするその意思を見せつけることで、廃校問題にようやく決着がついたと言えよう。

理亞ちゃんのお尻

 ただのライバルユニットではなく、もう一つの主役として描かれる今作のSaint Snow。上にも書いたが、1人で残される妹の理亞はAqoursの6人よりも負担が大きい。特に陰キャ属性の理亞が新メンバーと上手くいかずスマホを投げ捨てるシーンはとても心にくるものがある。姉離れする妹の成長はルビィにも共通して描かれているが、そこで鍵になるのが二つのユニットで行う疑似決勝戦。というかほぼSaint Snowの卒業ライブ

 理亞が心残りに思っていたことはすなわちラブライブ本選に出場できなかったこと。それをやり残した状態で先もクソもねーだろと卒業ライブを敢行し、Saint Snowはその活動に一つの区切りをつける。まあ理亞はSaint Snowそのものを続けるのではなく新しいユニットとしてスクールアイドルを続けようとしているので、姉との最後のライブを終えなくては先に進めなかったわけですね。
 姉とすべてをやり切って、その上で新しい活動を始める理亞。そしてこれが必要だったのはAqoursも同じで、区切りをつけるためにAqoursも卒業ライブを行う。観客のいないライブはつまり自分たちのためにやるライブだからであって、そういう意味ではμ'sの僕たちはひとつの光と通ずるものがある。区切りは大事。

 あとあれ、はっきり言って今作のライブシーンのうちでSaint Snowのそれが一番好きだった。なんか他の曲がいうほどパッとしなかったからってのもあるけど、ここは曲も映像もすげえ気合入っててかっこよかった。特に理亞ちゃんのが執拗にズームされててよかった。かっけえイントロにどこから出てきたのかわからない光線に颯爽と現れる。お涙頂戴ではなくかっこいい卒業ソングっぽい歌詞といきなり差し込まれる。ぶっちゃけ画面が暗くてよく見えなかった

まとめ

 エピローグで流れる、新しく高校生になるのであろう少女たちの会話。は?お前知らねえのAqoursだよ、あー俺も輝きてえな。みたいな台詞は普通怪獣である一期一話の千歌が発するようなそれであり、彼女たちは恐らくこの後Aqoursに入って更にその先の物語に関わっていくのだろうと予感させる。μ'sに入らせてもらえなかった某妹が聞いたらガチ切れしてもおかしくないが、それがAqoursの受け継いだ功績でもある。

 でも実際の運営としてはAqoursに新メンバーが入るってことはないんだよな。これがアニメでやる感動的な物語と世知辛い現実の祖語。まあいいけど。それからお話的にも、一度は三年生が出てこないライブをやった方が説得力増すよなあでもどうせやらんだろうなあと思ってたら一応ラストが形式上はそれっぽい感じになったのでその辺で手を打ってやってもいいと思った。

 とにかく、想像してたより全然面白かったですね。初代と同じようにラブライブ優勝した後の身の振り方について描いた話で、それでいて初代とは異なったテーマと結末をちゃんとやり切ったのは想像以上だった。ただエンタメ的にはライブシーンが弱かったというか、途中の海外編がなんかいらんかったというか、初代でいうところの「今が最高」みたいな激強ワードのパンチが足らなかったというか、まあ語るとキリがないけどとりあえず一つの作品の最終章としてとても綺麗に終わっていたと思います。はい。

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