くだらねえオタクの話をする

『ダーリン・イン・ザ・フランキス』14話、どこがクソかって話をする

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 感動的な13話、からの意味不明な急降下を果たしたダリフラ14話。ついこの前に今期はダリフラ2クール目が一番安心して見れるな的なことを思った直後にこれである。やはりオタクコンテンツは人を飽きさせない。

 ネット上での感想をちらほらと見たところ、まあ賛否両論。特に海外勢がキレてるって話はお笑い的な意味で面白かった。大まかな着眼点としては、イチゴの振舞いが指摘されたり擁護されたりってところがほとんど。俺の意見はタイトルを見てもらえばわかるけど、今回は賛否でいうところの否の理由をちょろっと語ってみたいと思う。

 ちなみに俺は昔からことあるごとに感じていたんだけど、世の中にはシリアス展開、鬱展開、バッドエンド、の類をリアリティがあると評価したい人間が多いのか少ないのかともかく一定数存在していて、そういう人間に限ってご都合主義的なハッピーエンドを親の仇のように批難するのである。まあご都合主義自体が好きなヤツもそうはいないと思うからその点はいいとして、一つだけ言っておきたいことがある。ご都合主義によって作られたシリアス展開というのも存在するのである。

14話の概要

 今更ダリフラの概要なんて話しても仕方ないけど、今回重要な部分だけおさらいしておきたいと思う。

 つい先週、ヒロとゼロツーが猿でも感動するレベルの回想を披露し今までの伏線を綺麗に回収。そしてヒロが記憶を取り戻し感動の再会を果たした。正直これでシナリオのテンションは上向きになって2クール目用の新しい展開が来るんだろうと思ってたけどね、まさか再会したのに下向きになるってのは、まあそれ自体は別にいいんだけどね。

 この辺において重要なのは、あくまでもこの感動はヒロとゼロツーの二人だけの話ってこと。他の13部隊連中は完全に蚊帳の外であり、イチゴを含め他のヤツらからしたらゼロツーが勝手に暴れてヒロがぶっ倒れましたっていうだけのシーンなわけで、つまり他の連中はもう完全にストーリーに絡めてない。後の方でも書きたいと思うが、ヒロとゼロツーはほんとシナリオ上の立場が独立していて、特にゼロツーなんかは13部隊の一員になったところでヒロ以外のメンバーと仲良くしていることはほとんどないし、絡むようなことといえばイチゴと言い争いしているときぐらいである。

一個ずつ突っ込んでいく

14話で気になるところを一個ずつ挙げていこうと思う。

 

・イチゴ「そうよイチゴ、あんたなんでそんなにムキになってんの……?」

 冒頭、ヒロに会おうとするゼロツーをイチゴが引き留め、ガヤがぽかんとするシーン。

 一応、イチゴは他のメンバーより二人の、というかゼロツーの事情には詳しいんですよね。あの金髪から入れ知恵があったからね。ただそういうわけもあって、ゼロツーを引き留める理由はまああると思う。問題は、他のメンバーにその辺の知識が共有されていなかったということ。ムキになってるのはイチゴだけじゃなくてゼロツーもなんだけど、他のメンバーはマジでその辺の理由を知らないし説明もない。この二人のコミュ障っぷりが14話の失敗の一つだと俺は思っている。イチゴだけじゃなくてゼロツーもだからな。そこんとこ忘れないでくれよ。

 

・ヒロ「まだ、どうしても彼女に聞かなきゃいけないことがあるんだ」

 ミツルくんと二人きりのシーン。それみんなの前で言ったれよ。このシーンは14話で安心できる数少ないシーンではあるけど、その理由がコミュ障であるところのマンコ連中が出てこないからなんだよな。

 ただ、ここでヒロもわりかしコミュ障気味なのが露呈してて、みんなの前でゼロツーと話したい旨は喋らないし、ミツルにすら「彼女に聞きたいこと」の内容を話そうとしない。13話のことをそのまま説明してやれば余裕で会わせてくれるだろうに、ヒロもゼロツーもまったくその辺ノータッチなのマジで意味不明なんだよな。

 あとね、ここでヒロが「ゼロツーは俺がゼロツーとしか乗れない体なのを知っていて利用したのでは……?」とゼロツーを疑っているわけですね。これもすれ違いの一つなんだけど、基本的にヒロがゼロツーを忌避する理由はここだけ。

 

・イチゴ「今回の任務にあたり、13部隊からコード002を外してください」

  これね。このあと「これは13部隊の総意でもあります」って言うんだけど、なんていうか小学校の学級会を思い出して仕方がない。

 まあ、この台詞の前には各メンバーが汗垂らしながら口をつぐむカットがあるんだけど、そこから一応の相談はあったもののそれほど納得はしていないという様子が伺える。

 この行間でどの程度の意識のすり合わせがあったのかはわからないが、そこをはっきりと映像化する必要はあったと思う。何度も言うけど他のメンバーは何も知らされていない状態で、そもそも判断材料がないわけだから、学級委員であるところのイチゴに従わざるを得ないのは必然。こんだけメンバーがいても、結局シナリオ上の働きとしてはイチゴが一人いるのとまったく変わらないってのはどういうことだ。1クール分のキャラクター描写がすべて無に帰してしまった感がある。他のメンバーがイチゴに協力してヒロとゼロツーを遠ざける、その理由を推察することはできるが、この大事な局面でその描写をスキップする理由はなんだろうか。このままだと学級委員による集団いじめにしか思えない。

 

・ゼロツー「僕はダーリンと話をしたいだけなんだ!」

 ゴロー「会わせてやろうぜ、イチゴ……」

 っていうシーン。何故Aパートでそれをしなかった? ここにいるやつら全員陰キャのコミュ障だから、常人が秒で済ませられるコミュニケーションを丸々一話分かけないとやってらんないらしい。この辺の各キャラの行動に関して尺稼ぎ以上の理由がほんと見当たらんし、十分尺稼いだからそろそろ会いに行かせてやるかwみたいなゴーサインはご都合主義的シリアス展開のまさにそれ。

 

・ヒロ「ゼロツー、今の君は化け物だ。人間じゃない」

 これ、さすがに無理があると思うんだよな。ゼロツーの尻を追い掛け回してたヒロがここにきてゼロツーに批判的になるの。理由としては今まさにゼロツーが仲間をボコにしてるのと、ゼロツーが自分を騙してたんじゃ? と軽く疑ってたことぐらい。それぐらいで今までの積み重ねと13話の感動的再会をぶった切るほどヒロ氏がガチギレするってのは正直納得いかない。ここの台詞はご都合主義以外の何者でもなく、流れをぶった切ってでもゼロツーを遠ざけなくてはいけないというストーリー進行上の力が作用したとしか思えない。

 しかもこのシーン、その後ヒロはなんの台詞も喋っていないし、最後のイチゴの告白シーンでさえ口にした言葉は「けど……!」の一言だけである。けどってなんだよ。ヒロがこの一言に至る動機の説明もないし、最後のシーンも突っ立って泣いていただけである。いや、涙を流すほど別れたくない相手を化け物呼ばわりするなよ……

 そういうわけなので、やっぱりヒロもコミュ障だった。なぜコミュ障になってしまったのか? それは作り方が残念だったからである。生みの親があれだと子供はコミュ障になるのだ。

まとめ

 ってことでね、14話の流れをざっと見ていくと登場人物の意思疎通の少なさがこの事件を招いていたということがよくわかる。やり玉によく上がるのはイチゴだけど、ヒロやゼロツーにも問題点が多々あったことが見受けられる。そしてそれらの原因が、作中の設定で説明できるそれではなく、単純にそういう展開に持っていきたかったというシナリオ上の都合にあるということを、俺は強調しておきたい。

 まずイチゴの問題点を挙げよう。これはもう簡単。13部隊を率いて集団いじめを発生させたことだ。しかもロクな情報を与えず印象操作を用いて、他のメンバーをまるで部下のように使役している。もちろんヒロやゼロツーの意見には耳を貸さない。外国人にレイプされても仕方のないことである。

 ただ、イチゴに批難が集中してしまう原因は、彼女自身の行動だけにあるのではなく、ヒロとゼロツーに批難がいきにくい描かれ方をしているから、というのもあると思う。正直メインの二人は14話において悲劇の主人公ポジで、その二人がコミュ障なのはそれほど指摘されていない。そして視聴者のヘイトをイチゴが一身に受けてしまうという、いわばご都合主義の被害者ともいえる。

 次にゼロツー。ここはすげえシンプルで、「ヒロとは過去に出会ったことがあるのでその話をしたい」旨を申告し、13話の映像を疎明資料として提出すれば一発で面会の申請が通ったはずのところを、陰キャコミュ障特有のわけわからんムーブで勝手に暴れていたのがだいたい悪い。

 そして最後にヒロ。俺はどっちかというとイチゴよりこっちが問題だと思ってる。特に14話でいうと一番最後のシーン。あそこでヒロが空気を読めない一言を放たなければまだ仲直りの芽はあったような気もするが、普通にいじめられっ子に追い打ちをかける言葉の暴力でノックダウン。しかもその後には悲劇のヒロイン面して空を見上げる始末である。お前本当に大丈夫か。

 個人的には最後のシーン、本来は一言程度で済ませられる程度の内容じゃないと思うわけ。散々すれ違って、過去の積もり積もる話もあって、その上であの再会の仕方。それをたった一言「お前バケモノやんけ」で終わらせるってことは、相当ヒロはゼロツーにキレていてイチゴ寄りになってるような状態。のわりには全然イチゴ寄りでもなんでもないし、なんならゼロツーを想って涙を流したりするのは本当にわけがわからん。冷静に尺を取って話をさせるとそもそもストーリーが成り立たないからって、とにかく勢いで話を進める。結果、コミュ障とヒスが氾濫するのがご都合主義的シリアスによくある展開だ。

雑感

 まあ面白いアニメにも納得のいかないご都合主義ってのはいくらでも出てくる。それでも人は、その作品が面白いから納得するのである。エンタメなので、基本的に面白ければそれが正義だと思うし全然それで構わない。まあ今後の展開がしっかりしてれば14話もすぐ忘れられるでしょう。

 で、俺が言いたいことに関しては冒頭の通り。別にシナリオの方向性がハッピーだろうとバッドだろうと、ご都合主義はご都合主義である。ダメなときの花田十輝作品を見ればわかるが、後半でいきなり謎シリアスが入ってきて無理やりシリアス展開が始まったりするアニメはよくあるが、あれだってご都合主義の一つである。

 普通、ストーリーを作る上では一旦シリアス的な展開で谷を作ってそこから山場で盛り上げていってハッピーエンドにするわけだが、それらは要はご都合主義がどこで発生するかの違いでしかない。だいたいは山場で人が生き返ったりするのがご都合主義と叫ばれるが、谷場でいきなり人が死んだりするのだって立派なご都合主義だ。もちろん設定からしてご都合主義な作品もある。けれどそれらは全部「創作だから」で蹴りがつく。評価の際に重要なのは、それを見た人間が素直に面白いと感じたかどうかだと俺は思う。

 それで少なくとも俺は、ダリフラ14話がクソつまんねーなと思った。それだけのことである。