オタクは世界を救えない

ラブライブ!初代とサンシャイン!の違いについて話をする

TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』オリジナルサウンドトラック Sailing to the Sunshine

 とても今更感があるネタだし、どうせその辺扱ってる人は多いだろうし、なにより真面目に語ろうとすると長くなりそうなので避けてきたラ!関連の話なのだけれども、最近ちょっとサンシャイン(以下サ!)が面白くなってきたのでなんか書いてみようと思う。

そもそもサ!の立ち位置とは

 これね、一応整理しておきたい。まずそもそもラ!とサ!の設定上の違いっていうのはほとんどない。アニメ化前の時点でも、廃校問題のためにスクールアイドルをする設定と、そのメンバーが9人ということ。学年ごとの人数や、メインが二年生ということ。

 わかりやすい違いとして挙げられるものとすれば、ラ!は廃校阻止を目標としてスクールアイドルを立ち上げたのに対し、サ!では廃校は既に確定事項となっている点(なおアニメでは当たり前のように廃校“予定”に書き換えられた)。そしてラ!が都会の過疎地だったのに対し、サ!はガチの過疎地が舞台となっている。そんなところだろうか。

 正直、このコンテンツは初めから成功が約束されているコンテンツといっても過言ではない。初代にあれだけの人気があるのなら、二代目で冒険する必要などまったくなく、だからサ!の運営方針としてできるだけラ!に近づけようとする考えは至極まっとうである。実際、コンテンツとして特別面白いかと問われれば首を傾げる俺でも、総合的に見ればちゃんと完成度は高いしぶっちゃけその辺に転がってるマジもんのクソアニメに比べれば全然マシだと思う。

 

サ!一期のお話

 今回メインに話したいのは二期のことなんだけど一応、一気にも触れておく。まあ一言でいうと劣化ラブライブであり劣化μ'sでしかなかったので普通に微妙だった。そもそも話の設定が同じだからといって、ストーリーの構成までまったく同じにしてしまうのはいかがなものか。確か10話ぐらいまで初代と同じ話の進み方をしていたはずだが、なんかもう同じすぎてエンドレスエイトでも見てるのかってぐらいだった。

 だいたい、一期のヤバいところの一つが、μ'sの名前をほとんど出さずにいたところ。つまり作中ではあくまでも彼女らは普通にスクールアイドルをしているつもりで、μ'sに憧れてはいるものの、別に模倣しようというほどのものはない。作中において、ラ!と展開が同じことに対する伏線やらはなく、ただ単に同じことを繰り返しているだけなのだ。そして終盤になって「Aqoursらしさを出していこう」みたいな話が出てきてようやくかと思えば、最終話のあのクソミュージカルである。何してもμ'sは超えられないコンテンツだということを実感したね。

 

サ!二期のお話

 で、こっちが本題。

 ぶっちゃけ三話までは一期と同じかと思ってた。一話でもはや当たり前かのように二回目のラブライブ大会が始まって、二話で二手に分かれてお泊り会兼作曲回。そして三話でまた地区予選ライブ。ここまでまったくラ!と同じである。三話では一日に別々の場所で二回のライブをやるというのが目玉だったのかと思うのだが、その片方が説明会でファーストシングルの既存曲をやるっていうまんまぼらららであるし、もう片方はなんか曲が微妙だし、移動方法がやっつけっぽくて素晴らしいとのことだが、大雪をゴリ押して「私もラブライブに出たいんです!」したラ!と大差はないと思う。

 だが5話から俺の中でちょっと評価が持ち直した。単純に善子のセリフが好きだったってのもあるが、それ以外にもなんというか、原作を尊重した小ネタが多かったのも大きな要因の一つである。ラ!では二期から強引なテコ入れでキャラ設定が初期設定のそれから離れていったヤツもいたが、サ!二期はどちらかといえば逆で、マリーのヘビメタ好きだとか花丸が無の境地に至ってたりだとか、梨子がリリー呼びされてたりだとか、その辺は気を使っていて丁寧さを感じた。その中の極めつけが、浦の星女学院の廃校確定である。すっかり廃校阻止は盤石かと思われていたが、そこで原初の設定であるラ!との差異を持ち出してくる辺りに俺は希望を見出した。幕が開けたら観客が一人もいないぐらいの感動だった。

 

萎え落ちする穂乃果と千歌による差異

 廃校を阻止した際の穂乃果の萎え落ちと、廃校が確定した直後の千歌の萎え落ち(というほどの尺は取っていないが)はようやく明確に表れたラ!とサ!の差別化部分だと思う。

 穂乃果は廃校阻止を成功させ、スクールアイドルを続ける意味を見失った。同様に千歌は、廃校が確定したスクールアイドルをやる意味がなくなってしまう。結局廃校問題が終わってしまえば、それが成功にしろ失敗にしろ当初の目的は霧散してしまう。重要なのはその後にスクールアイドルを続けるための彼女たちの目的である。そこで穂乃果は「スクールアイドル自体」に価値を見出した。ヤツはスクールアイドルという概念に恋をしていると公野櫻子が言っていたので、そういうことだ。対して千歌は、「スクールアイドルの歴史に浦の星女学院の名を刻みつける」ことを次なる目標として掲げた。あくまでも学校本位である。この辺には非常に好感が持てる。模倣ばかりしていたサ!に、ついにラ!を超える強い要素が加わったのがここからだ。

 

気付いたら負けてたA-RISEと一話かけて予選敗退したSaint Snow

 まあA-RISEの県予選は表でμ'sが大暴れしていたので、それによって影でボコボコにされてしまい仕方なかった感があるが、Saint Snowに関してはなんか普通に失敗して予選敗退である。廃校確定に続いてまたもシリアルな展開にやはり俺は期待した。そもそも、ラ!では他のグループに関して触れることはあまりなかった。A-RISEも二期でようやく出てくるぐらいであったし、決勝大会に至っては完全に独壇場である。あれはμ'sの物語であって、他のヤツらのことはぶっちゃけどうでもいいものだったのだ。だからこそ「スクールアイドル」という概念に形を与えた劇場版に真新しい感じを覚えたというのもある。それに対し、他グループであるSaint Snowにこれだけの役割を振ったというのは、ここもやはりラ!との差別化部分の一つに数えられる。

 正直、ここから更にスクールアイドルの概念に深みを持たせる展開があるのかどうかはわからないので、あまりその辺の話をするのはちゃんと最終回までを見終えてからにしたい。ただもう一つ言いたいことがあって、それはSaint Snowの妹が、姉がいなくなってもスクールアイドルを続ける決心をした辺りの話だ。

 

解散したμ'sとスクールアイドルを続ける妹

 μ'sは言わずもがな、三年生の卒業と同時に爆発四散した。対して、Saint Snowの妹は姉が卒業しても、スクールアイドルを続けるそうだ。で、その辺の説得をしたルビィ自身も、姉がいなくたって自分たちはやっていけると主張する。解散しないフラグである。強い差異である。ラ!での最たる山場をサ!が自ら放棄したということは、その代わりになるより強い要素を用意しているのだと俺は思いたい。それがなんであれ、ただラ!の足跡を辿っているだけのストーリーにならないのであれば、それなりに続きを見るモチベーションも上がってくるというものだ。

 

雑感

 そういうわけで、俺は今わりとサ!は楽しく見てる。なんか二期になってから曲がダサくなったような気もするが、ストーリーがダサいよりはマシだと思う。ユーザーに媚びて萌えと涙をゴリ押ししてきたラ!二期に対して、展開とキャラの扱いに丁寧さが見え隠れするのも好感が持てる。どうして一期からこれをやれなかったのか。とりあえず挽回には期待しておきたい。

 

 ↓劇場版を見た

yossioo.hatenablog.com

 

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