くだらねえオタクの話をする

まじかるすいーとプリズムナナ星空編とかいう幻のOVAを見た話

まじかるすいーとプリズム・ナナ 星空編 ボーカルアルバム

 

プリズムナナとは

 まどマギの大ヒット直後、シャフトが調子に乗って企画した魔法少女モノアニメ。キャラクター原案はカントク。複数の監督がキャラとテーマだけを共有し、オムニバス形式で「魔法少女」を表現する

 

……予定だった。しかし発足当初にいくつかのPVが公開された以降はしばらく音沙汰がなく、やっと詳細が出たと思えばパチンコ企画でしたというお話。そしてパチンコの方も振るわなかったのかあまり話題にもならずそのまま撤退。その一連の流れが2012年辺りで、そこから長い凍結期間。で、最近また企画が再開したものの、OVAが上映会だけやって発売はされなかったりと、シャフトのやる気のなさが丸わかりな作品。

 とはいえ、絵はカントクなだけあって可愛いし話にも期待できそうな雰囲気を醸し出している。なによりこれだけ間延びした制作期間の中で復活した作品には何かしらの強みを感じる。そういうわけだから俺は数年ぶりに目にしたプリズムナナというコンテンツにOVAが出たと聞いたとき、わりと期待したのである。その後、OVAが未発売というのを知って酷く落胆したが、晴れて今回、youtubeに期間限定で映像が公開されたので喜々として見てやった。その話をしようと思う。

 

ストーリーの話

 至、飛鳥、琴音、マコの四人のメインキャラは名前とキャラデザだけ共有し、残りの設定は監督ごとに好き勝手やっていいという企画。星空編では至、飛鳥、琴音に加えて“りいの”というキャラが合唱部に所属している設定で、そこへドジでノロマなカメのマコが合唱部の輪へ入っていけるかなーどうかなーみたいな話。で、『短冊』を手にすると魔法少女になれるらしく、短冊持ちの四人は魔法少女になれる権利があるのだが、なんか合唱がうまくいかないと魔法少女にはなれない模様。ぶっちゃけ魔法少女云々の辺りは説明不足というか尺が割かれていないというか、どちらかというとメインは、引きこもりのマコや色々問題を抱えた三人がきちんと目標に向かって頑張ってそんで願いを叶えられるかどうかっていう感じの話。理由は後述になるが、俺は青春モノに近い印象を受けた。

 

強み

・テンポ

 このアニメの最初の数分見てまず思ったことは、会話劇が威容なテンポで行われるっていうこと。まず至(赤いやつ)と琴音(青いやつ)のやり取りが意味不明だし、りいの(CV南条愛乃)はとにかく話をすっ飛ばすし、マコはコミュ障。で、これは会話シーンに限らず他のシーンでもテンポがおかしい。尺の無さが関係しているのは確かにそうだけれどそれだけでもない。独特なセンスの言い回しに振り回されながら話が進むのは、結構楽しい。

 ・曲

 まあ聞けばわかる。俺はそもそも曲が強かったので本編を見る前に主題歌を聞きこんでいたくらいだ。こいつらは合唱部ということもあってか挿入歌が何曲か入ってくるが、この部分に関しては素直に褒められてしかるべきだろう。ちなみに俺が好きなのは星空コネクション(starry mix)と星空ハーモニー。なんだこいつら、星空好き過ぎか。

・バイオレンス

 バイオレンスのシーンがやる気に満ち溢れてる。唐突にボコボコにしたりされたりっていうのが笑えるぐらいいきなりだしそこまでやんのかってぐらい激しい。でもそれぐらい本気だってのが伝わってくるし、適当そうに見えてやるときは全力でやる。尺が短いからってコンパクトにまとめるのではなく、勢いでやれるとこまでゴリゴリ押していこうとする姿勢、俺は評価したい。

・短冊

 短冊に願い事を書いて、七夕の日にそいつを言葉にして歌う。そうすることで彼女たちは魔法少女になれる(んだと思う)。でも四人はそれが上手くできない。なぜか。言ってしまえば思春期特有のそれだ。ジュブナイル的なあれだ。特にマコなんかはあんだけメンタル雑魚なので願い事ぐらいはいくらでも思いつくだろうに、短冊に書いて言葉にするってだけのことができない。ふわふわつるつるしながらああしたーいこうしたーいって言ってるだけで具体的なことは思い浮かばないし行動に移せない、ただのわがままな子供の集まりなわけだ。そんなやつらが傷つきながら夢を叶えていく。「女の子はいつだって魔法を使える」とりいのは言うが、そりゃそうだ、短冊に願い事を書くだけで魔法が使えるなら誰だって魔法少女になれる。しかしクソガキにはそれが案外難しかったりするということをみんなわりと知っていて、そのおかげでジュブナイルモノとかいうジャンルが成立している。この作品はそういうジュブジュブなやつを「魔法少女」という視点から微妙な変化球で表現している……のかもしれない。

 

弱み

 これはもう簡単で、尺がないこと。尺が短い作品はコンパクトにまとめるか諦めてまとまらないかの二択だが、この作品は後者を選んだ。なので設定の節々がマジで意味不明になってる。特に魔法少女部分に関してはマジで意味不明だし、りいのの正体は最後までよくわからん状態。まあ七夕どうこうとか言っている時点である程度想像はつくが、この辺を投げっぱなしにしてしまうのはセンスのないオタクに批判の隙を与えてしまうことになる。ただ俺としては、シャフトの適当な姿勢から本編はもっと適当な出来だと思ってたのだけど、意外に作画はまともだし、某ネギまのように白いだけのラストシーンとかが流れ出したりとかもしなかったし、話は一応ちゃんと完結しているし、言うほど突っつく部分は多くないように感じた。もちろん、突っ込みどころの少なさも尺の少なさ故と言えなくもないが。

 

雑感

 総じて、完成度はそれほどでもないが輝くものをいくつも持っている作品、というイメージ。特に独特なテンポの会話やガチコミュ障のマコが社会復帰する様などは見る部分が多いと思う。残念なのは、これが一般公開されているというのを俺が知ったのが最終日だったこと、そしてそれ故に布教活動が一切無意味と化したことだ。願わくば、幻のOVAがきちんと商品化されていってほしい。