オタクは世界を救えない

最近の田村ゆかりとバースデイライブとにわか王国民の話をする

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 みなさん、田村ゆかりという声優を知っているでしょうか。

 まあどうせ知ってるだろって体でやっていこうと思うんですけどね。程度はどうあれ、オタクやっててこの名前知らねえってやつは中々いないと思う。むしろなぜ今更?って感じか。それなんだよな。今更になって田村ゆかりに言及しても語りつくされてるだろうし、語られてない部分に関してはにわかの俺が追求できるようなもんでもないだろう。

 それでもついこの間行った田村ゆかりバースデイライブで思ったところがいくつかあったので、その辺を中心に王国民歴三年ぐらいの俺がにわか視点での感想とか書いてみたい。

なぜ俺が入国したのか

 まず最初に知らねーやつにも教えてやろうと思う。田村ゆかりの強みってやつの話な。

 一言で表すと、単純にコンテンツとして面白いってこと。その内訳として、まあ俺はやっぱりライブで見る田村ゆかりが一番好きで、有名なのは愛を叫ぶための多様なコールだったり王国民特有の強い一体感だったりすると思うのだけど、それ以外にも強みはいっぱいある。まず普通に(声優としては)歌が上手いので聴いてるだけでも結構面白いのとか、あとは幕間のMC(熟練のトーク力&客いじり)茶番映像(センスとシュールさの塊)が歌手のそれや若手声優のそれに比べて段違いに笑える。まあラジオやらイベントやらで田村ゆかりのスキルを目にする機会は多いんだけど、映像が曲間の尺稼ぎじゃなくて普通にコンテンツとして面白いのは、本人の技量だけじゃなくスタッフにも恵まれている証拠か。

 ちなみに俺が入国した直接の理由は、免許合宿中にチェルシーガールを聴き続けてたから。人里離れた地で鬱病になりながら乗りたくもない車の免許のために監禁された俺が「Happy Happy!!」とか言われて(FuFu!!)と脳内で叫ぶことで自我を保っていたみたいなところがある。

ライブ概要

 正式名称は「田村ゆかり BIRTHDAY ♡ LIVE 2018 *Tricolore ♡ Plaisir*」。会場は武蔵野の森総合スポーツプラザでキャパシティは1万~1万3千人ぐらい? 2018年2/25,26,27の3days開催で、最後の2/27は田村ゆかりの誕生日に合わせて平日開催されるという割と社会人泣かせのスケジュール。まあ俺はブラック勤めではないので普通に有休使って全通したんですがね。

 ちなみに彼女、バースデイライブっていうのは滅多にやらない(というか今回が初?)らしく、それに合わせて内容も珍しいとこ突っ込んできたなと。滅多に歌わないキャラソンを歌ったり(というか初?)、カバーソングを歌ったり(これも初?)、王国の住人ではないコマさん(妖怪ウォッチ)がステージに上がったり(初?)、開幕いきなりバラードで始まったり(田村ゆかりに限らず声優ライブは冒頭で盛り上がる曲が定番)、などと、だいぶ印象を変えてきた感じ。三日間でセトリを大幅に変え、本人も歌詞を間違えた言い訳に「毎日が初日」と表現したり、相当やりたいことを詰め込んだライブだったことが伺える。

 ただこの辺、別に今回のライブから突発的に始まったことではない。ここに数年の田村ゆかりを語るに当たって避けては通れない問題がある。唐突な事務所脱退、ラジオ終了、ライブ中止等。それが2016年の2月、つまり2年前。この件に関して公式は一切触れていないし、それが原因でライブを始めとした田村ゆかりコンテンツが劣化したというわけでもないので、あまり追及する気はない、が、ここで何かしらの転機を迎えていたのだろうと少なくとも俺は思っている。

 また、事務所脱退の更に一年前に行われた「田村ゆかり LOVE ♥ LIVE 2015 Winter *Lantana in the Moonlight*」も今回と似たような思惑があったライブだと俺は感じていて、簡単に言ってしまうと玄人向け、つまり定番曲少なめのマイナー曲多め、アップテンポよりもバラード重視、というような内容だった。このときも田村ゆかりは、「いつも同じようなライブばっかりだと飽きてしまう」というようなコメントをしていて、それが初参加だった当時の俺は、この年になっても進歩し続けてるのかこの女と思って驚愕した覚えがある。ただ正直、飽きるもなにも初参加のにわか的にはもっと定番曲をやってほしいと思ったのもまた事実。

 で、事務所移籍後の初ライブである前回は定番曲が多かったので素直に面白くて、今回がこれ。まさに姫に振り回されるオタクの図。どこに向かってるのかはさておき、飽きさせないコンテンツは良いコンテンツだと思う。

王国民の実態

 王国民は他の民族に比べてよく訓練されているという話がある。嘘ではないと思う。実際、十年以上前から彼女の曲には濃いコールが開発され、それが何年も積み上げられた結果、にわかが数日程度で予習できる量を軽く超えたレパートリーがそこに存在している。そしてそれらを完璧にカバーしている年期の入った王国民も多く存在している。

 ただ、それを理由に田村ゆかりのライブを敷居が高いと感じる異国民もいると聞く。そうなのだろうか。俺はそうとは思わない。実際にライブに行ってみて感じることの一つは、常に新参が一定数いるということだ。

 特に俺は、最初に二回ほどのライブは一般チケットで入った後ろの席で参戦していたのだけれど、ちょろっと喋った隣のオタクも初参加だったり、明らかにコールうろ覚えマンがいたりと、イメージしていた鍛えられし王国民とは少し違う人種をよく見かけた。もちろん平均年齢層は高めなのだけれど、恐らく20代辺りも相当数いるので、その辺を考えるとマジで古参~新参まで幅広い層が参加していることが伺える。それから思うところとして、やっぱり定番曲ほど盛り上がり、新曲はコールが探り探りだったりと、王国民といえどそこまで普通のオタクとスペック差があるわけでもない。比較的民度が高いというだけで、別に排他的だとか選民思想だとか入国審査だとかがあるわけではないのでその辺は勘違いしてほしくはないと思う。

 民度で思い出したけど、田村ゆかりオタクにはいわゆる「厄介」があまりいないというのも良い点の一つ。流行りコンテンツに乗っかろうとするとどうしてもある程度の悪いオタクが混ざってきて嫌な気分になることもしばしばなのだけど、今更田村ゆかりにそんなのは入ってこないのでMCとかかなり平和。客層がそんななので、田村ゆかり自身も客いじりでファンが買った物販のお饅頭を食ったりライブ後の二次会カラオケを仲介したりとわりとやりたいことやってる印象。レスをくれてやった客をカメラで映したりとか認知欲しさの厄介オタクが多い現場じゃ絶対出来ないことだし、客層の良さでライブを面白くする手助けができているのは、王国民も誇っていいんじゃねーかなと。

太田雅友の話

 一つだけ、明らかに劣化してしまったと思う点があるんですね。シンプルかつ重大。曲が弱くなったんだよ。

 俺はFuntastic futureで田村ゆかりを具体的に認識し、チェルシーガールで好きになり、秘密の扉から会いに来てでのうりんを及び白鳥史郎を知るきっかけになり、W:wonder taleはガチの名曲だと思ってる。そしてそれらを書いているのが太田雅友氏であり、彼は田村ゆかりにメインに曲を提供していた強い作曲家であり、ぶっちゃけ定番曲のほとんどは作曲を見ると太田雅友って書いてある(太田雅友 - Wikipedia参照)。そして太田は秘密の扉辺りを最後に、田村ゆかりへの曲提供を辞めて自身のユニットである『SCREEN mode』をメインに活動している。SCREEN modeってのが何なのかというと、1話だけ神アニメの夜ノヤッターマンのOPや京アニがシコに走ったのにそこまで売れなかった無彩限のファントムワールドのOPで知られるそこそこ強いユニットである。それが彼のやりたいことであるならば否定はしない。ただ、最近の田村ゆかり曲が弱いことへの説明としては十分だろう。

 今回のバースデイライブが、バラードメインではあったけれども、それ以上に新曲があまり盛り上がらなかったのが俺は気になって仕方がなかった。正直言って俺は2013,4年のライブをもう一回やってほしいぐらいなんだよ。新曲枠が強くて定番曲が強いのが最強。俺は最強のオタクになりたい。

 

「余生のつもり」と雑感

 最後に湿っぽい話をするのもセンスがねえと思うけど、とりあえず言いたいことを言ってみよう。

 「余生のつもりでやっている」と三日間のうちのどこかのMCで田村ゆかりが言った。だから観客を楽しませようの前に自分が楽しめることを一番に考えてるんだとか。反商業主義で作者の気持ちを考えるのが好きなタイプのオタクとしては、クリエイターやアーティストにはやはりそいつのやりたいことをやってその色を見せてほしいと常々思っている。しかし、正直なところ、ぶっちゃけ、定番曲すらあまり現地で体験していないにわかの俺としては、マイナー曲より定番曲をやってほしい。これ万が一田村ゆかりがエゴサとかして見たら普通に傷つけてしまいそうだしガチの王国民には臭くてセンスのねえ雑魚だと思われそうだけど、いやね、正直ライブは盛り上がってなんぼだと思ってる俺からしたらね、バラードの比率は低くていいんすわ。途中のアコースティックパートとかで思い出したようにやるぐらいがちょうどいい。俺はバカだから難しいことはわからねえけどさ、声を出すわけでもなくただオタク棒を縦に振り続ける人生を楽しいとは思えねえんだよな。

 とはいえ、それでもまだ他のライブより田村ゆかりの満足度が高いのは事実。今度は初めてFCイベにも参加しようと思ってるし、次のライブもまあ普通に全部行く。なんていうか俺も田村ゆかりコンテンツには余生と思って参加してるようなところがあって、ガチ恋するような重いコンテンツに比べてだいぶ肩の力を抜いて触れている。だから田村ゆかりにやりたいことがあるのであれば、それを遠目で見て面白いと思ったときに参加するぐらいでちょうどいいと感じている。今のところはライブ関係は全部面白いので全部参加している。

 そういうわけで、ほどほどの距離感で末永くやっていけるのがいいんでしょうね。でも最終日にケーキに顔から突っ込んでいった田村ゆかりが愛嬌ありすぎて思わずガチ恋勢になりかけたときはちょっと焦りましたね。幸せになってほしいです。

 

Princess Limited

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